防火戸及び避難階段と法令根拠
本日はホテル内での防火対策について実例から読み解いていきます。

まず屋外階段に出るための防火戸です。特徴としては、扉の素材が鋼製で出来ている点。それから上部に避難誘導標識がある部分です。特に素材に関しては、遮炎性能が求められるため、ほとんどの防火戸は鋼製だと思料いたします。
法令としては、防火戸は建築基準法施行令第109条の2、第112条、避難誘導標識は消防法施行令第26条が根拠になります。
また屋外の避難階段は地上まで直通が義務付けされており、建築基準法施行令第123条第2項に書かれています。

次に内部階段に通じる部分の防火戸です。先ほどと同様に素材は鋼製、それから上部には避難誘導標識があります。この階段はホテル利用時に何度か使いましたが、地上に通ずる階(1階)まで直通でした。
屋内の避難階段は地上に直通が義務付けされており、建築基準法施行令第123条第1項です。

もう一つ、エレベーターホールと通路を繋ぐ部分に防火戸です。エレベーターを撮影していないのですが、防火戸の奥(画像では左側)にエレベーターがありました。
注目したいのは、上部の避難誘導標識の向きです。エレベーター(見えないですが、画像の左側にあります)とは逆に矢印(右方向)があります。すなわち、火災等があったときは、エレベーターに向かうのではなく、階段に向かってください、ということです。
また推測になりますが、おそらくこのエレベーターホールの防火戸は、スライド式で火災時には自動で閉まる仕組みの可能性があるとは思料いたします。
平面図から読み解く

そして、これらの実際の客室構成等を避難経路を主軸に復元してみたのが上の図です。
中央付近の防火戸(避難階段やエレベーター)は、竪穴区画として防火上有効に区画しなければなりません。
これは階段やエレベーターは上下の縦方向に長く伸びており、もし火災が発生した場合、火の気が一気に拡大し易いです。そのため他の部屋等への延焼や煙の拡大を防ぐために、このような区画がされています。
根拠としては、建築基準法施行令第112条第11項です。
もう1点、今回避難階段が2つ設けられています。これは1つの階で、客室面積が200㎡超(主要構造部が準耐火建築物か不燃材料の場合)の場合、義務付けされているものです。建築基準法施行令第121条第1項第5号になります。
今回は客室の合計が明らかに200㎡を超えているため、当該条文に当てはまると思料いたしました。
評価分析
最後に評価目線でも述べます。
不動産鑑定評価の目線では、前回の投稿でも書いたとおり、法令違反の建物は著しく評価額が下がります。
加えて今回の場合は、例えば避難階段の幅が広いか、蹴上と踏面のバランスが良い(降り易い階段)、手すりが片方ではなく両方あるか。また手すりが上下で2つあるか(大人と子供用)、踏面の先端に滑り止めがあるか、階段付近の照明が明かるいか等が個別的格差になってくると考えます。
更に現地確認という観点では、照明類であれば電球が切れていないか、滑り止めがあれば擦れていないか等の経済的残存耐用年数に繋がる部分もチェックすべきと考えます。
もう一つ、固定資産税評価で言うならば、防火戸は鋼製防火扉評点(非木造の場合)があります。
但し実務的なところから述べますと、鋼製扉の評点は防火扉と軽量扉の2つしかありません。すなわち、消防法の防火戸でなくとも、軽量扉に該当しなければ防火戸評点で付設することの方が多い印象です。
それから非常用電灯(今回は標識)については、原則としては建物と一体性があるとみて家屋と考えています。但し、容易に着脱できるタイプの電灯が非常用でも使われている場合、自治体独自の基準表から償却資産として申告項目にあげる必要性も出てきます。
この辺りは非常に細かいため、ご不安な方は当事務所までご相談いただければ、確実に家屋と償却資産は区分けいたします。
愛知県岡崎市・西三河エリアを中心に、不動産鑑定や固定資産税評価検証を行っています。
安城市役所で行政側から建物評価に携わり、現在は不動産鑑定士・損害保険登録鑑定人として1,000棟を超える評価実績を有しています。
「真実の追求」と「お客様に寄り添う臨機応変な対応」を重視し、行政・鑑定・建築積算の多角的な知見から、数字にとどまらない価値ある評価書を発行します。
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