原価法とは、主に費用性に着目して評価する手法です。適用時の流れとしては、以下のとおりとなります。
- 再調達原価の査定
- 減価修正
実務を踏まえた補足
再調達原価
建物(及びその敷地)の鑑定評価にて、再調達原価は竣工時の建設費が分かる場合、当該資料を元に算出するため、鑑定士によって差は出にくい箇所となります。
しかし、ここで着眼するポイントとしては、再調達原価とは“標準的”な建設費に基づく必要があるということです。すなわち、当時の建設費が何らかの事情によって割安(割高)で施工されていた場合は、標準的な水準に直す必要があります。
言葉で言うことは簡単ですが、実務上はかなりハードルの高い作業です。まず標準的な単価であるかどうかの判断をする必要があります。
そして、割安(割高)と判断した場合でも見積項目は多岐に亘っており、どの項目が標準に比べて安いのか(高いのか)判別には建築積算の知識と経験が必須です。また、鑑定評価として上手くまとめられるか、センスも問われる部分です。
鑑定評価は、一つの建物を実際に設計積算する訳ではありません。また評価書の納品は1ヵ月程度が標準となり、短期間で作業することが求められます。したがって、実際の設計積算のように事細かに設計イメージや積算確認することは非現実的であり、あくまで鑑定としての建物評価の腕前が問われることとなります。
減価修正
躯体、仕上、設備に大別して経済的残存耐用年数を求める必要があります。よくあるパターンとしては、税法上等にて定められている総耐用年数を参考にして、当該年数から経過年数を控除することで、経済的残存耐用年数を求める方法です。
しかし本来の求め方としては、まず経済的残存耐用年数を算出し、そこから経過年数を加算して総耐用年数を算出します。そのため、如何に建物の個別性や損傷具合を数値化させて、実態に応じた経済的残存耐用年数を導き出せるかが重要となります。
ここで補足になりますが、“経済的”残存耐用年数である点も評価上は考慮する必要があります。すなわち極端なことを言いますと、ピカピカな仕上や未利用に近い設備が並んでいたとしても、最有効使用とかけ離れた使用の建物であった場合、経済価値としては限りなくゼロになってしまいます。
利用者がいない可能性が高く、取り壊しするしかないからです。(残存価値の高い仕上材や設備を転売や再利用することによる評価上の考慮は可能ですが、現状建物の減価修正自体で考慮することは難しいです。)
そのため、単に税法上等の一般的な耐用年数だけでなく、鑑定士として最有効使用との兼ね合いも考慮して、経済的残存耐用年数は考えなくてはなりません。