評価手法の特徴
新規賃料は積算法、賃貸事例比較法、収益分析法となり、継続賃料は差額配分法、利回り法、スライド法、(継続)賃貸事例比較法があります。これはそれぞれ分離している訳ではないため、共通項がある手法ごとに説明します。
積算法(新規賃料)、利回り法(継続賃料)
基礎価格に利回りを乗じたうえで、賃貸借に必要な諸経費を加算して求めます。この2手法(積算法、利回り法)は、価格との関連性に重点を置いた手法となっています。
実務上、適用する利回りの率が2手法で若干異なりますが、ベースとなる率は同じです。継続賃料で用いる継続賃料利回りでは、新規賃料で用いる期待利回りに継続賃料固有の価格形成要因を考慮して調整します。
賃貸事例比較法(新規賃料及び継続賃料)
新規、継続ともに類似性を有する事例から比較考慮して求める手法です。建物評価(家賃)で述べますと、家賃に関する成約情報は多く流通している訳ではないため、対象建物との個別性の違いは適切に比較反映させる必要があります。
また、継続家賃情報についてはブラックボックスとなっている側面が強く、継続家賃の手法適用は困難と言えます。
収益分析法(新規賃料)
対象建物(及びその敷地)において一定期間の収益純賃料(営業利益)を求め、そこに賃貸借に必要な諸経費を加算して求める手法です。
実際に、賃貸に供する直前まで自営等にてホテルや店舗といったビジネスを対象建物で行っている場合、それらに基づく財務諸表を読み取ることで対象建物(及びその敷地)の営業利益は出すことは可能と思料します。
これは、自営等で対象建物(及びその敷地)から生み出す純利益と同水準の純利益を生み出す賃料水準でなければ、貸し出すことはない市場原理に基づくものと考えられます。
差額配分法(継続賃料)
継続賃料固有の考えに基づいた手法です。直近合意時点(現賃料に合意していた時点)での賃料を基準に、価格時点にて新規賃料を求めて差異を確認します。そして、当該差異について、賃貸人に帰属する部分を直近合意時点の賃料に加算して継続賃料を求めます。
実務上の補足としては、賃料差異のうち賃貸人に帰属する部分ですが1/2(賃貸人、賃借人)もしくは1/3(賃貸人、賃借人、その他全般的な事象)にすることが多いです。
これは、賃料変化という現象は地域や国全体レベルでの影響が大きな起因と思われるなかで、一つの不動産の賃貸人や賃借人の影響によるものは皆無であると考えられるからです。
スライド法(継続賃料)
直近合意時点から価格時点までの客観的な関連資料に基づき、賃料単価をスライドさせる方法です。
不動産鑑定評価基準には使用する資料は指定していないため、担当鑑定士によって適用する資料は委ねられている。そのため実務上は、対象不動産と関連性の高い資料(家賃であれば建設費指数や家賃指数等)を軸にしながら、マクロ的な指標(GDPや消費者及び企業物価指数等)にてバランス調整することが多いです。
比較的ロジックが分かり易い手法である反面、個別性を加味させることが難しいため、ミクロ的な観点に基づく指標(例えば、対象建物が属する用途及び地域の固定資産税上における再建築費推移や、対象建物の主な構成要素における資材推移等)を織り込めると説得力が増します。