取引事例比較法のポイント

取引事例比較法とは、主に市場性に着目して評価する手法です。適用時の流れとしては、以下のとおりとなります。

  1. 取引事例の収集
  2. 適用事例の確定
  3. 各種補正及び要因比較、修正

実務を踏まえた補足

取引事例の収集

基本的には対象不動産を含む近隣地域と、代替競争不動産が属する類似地域の事例を収集します。実務上は近隣地域や類似地域を明確に定めてから収集作業を行う鑑定士は少ないと思料します。(少なくとも、私や私が実務作業で知っている鑑定士ではそのような作業をしている方はおりませんでした。)

実際は事例検索できるサイト等から幅広く関連すると考える地域の事例を確認し、事例数の多寡や㎡単価の目安を見ます。ここで当初から自分が思い描く比準価格の単価と実際の事例単価が概ね合っているかを照合し、実態と大きなズレがないかも自己検証します。

類似地域についても、実際の事例単価から各地域と対象地との規範性有無を判断し、確定することもあります。

適用事例の確定

鑑定評価基準に明記はされておりませんが、実務上は3~4事例を選択し検証することがほとんどです。そのため、最終的にどの事例をピックアップするかは担当鑑定士に委ねられており、腕の見せ所と言えるかもしれません。

と言いますのも、実際の事例単価にはバラつきが生じていることが多いからです。それに対して、適用事例は限られているため、逆に言うと都合の良い規範性のある事例を揃えることで比準単価を調整することはできます。

大切なことは選んだ事例に規範性があるかどうか、そして、なぜこの事例を選んだか説明できることです。それがクリア出来れていれば、鑑定上は問題ございません。

但しAIの普及により、多数の事例を短時間で検証が可能になってきました。近い将来、もっと多くの事例から比準価格を算出するのが当たり前の時代になるかもしれません。

各種補正及び要因比較、修正

特殊な事情が孕んでいる場合や、地域間で価格格差が生じている、取引時点が異なっている、不動産に個別的な特徴等がある場合、対象不動産を軸にして補正や修正を行います。

建物の事例で言いますと、上記に加えてマンションでの位置や階層による格差や建物に起因する個別的格差等を修正します。

実務上、この作業は非常に重要となってきます。比準価格に直結する過程だからです。なかでも地域間の格差修正や個別的要因の修正は大きな率変動が起こりうるため、特に重要です。

鑑定評価基準には何%まで率変動が可能か記載はなく、各鑑定士によって判断(何%の乖離まで許容するか)はバラバラです。しかし、例えば地域格差が50%も異なっていたとします。そうなると、そもそも規範性のある事例なのか問われかねません。

したがって、自分の思い描く比準価格にしたいからと強引な補正や修正をしている場合は、要注意な評価書となります。大きな率変動をしている場合は、それに応じた明確な理由も必要です。

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