CLT造
会場を後にしようと思いましたら、気になる建物がありました。

富士ウッドストレートと呼ばれる建物です。陸上トラックの屋内練習場として、造られた建物です。
まず目を引いたのが、木造でありながら奥行きが長い中規模建物であったこと、また、外壁に控え壁のようなものがある、そして基礎の立上りが高い、といったところでした。
後日、調べてみましたが、この建物は単なる木造でなくて、CLT造(木材の直交集成板造り)でした。
近年の中~大規模木造はこのCLT造であることが大半であり、近年で注目されている構造の一つです。
話を戻します。
断定できないですが、控え壁のように施工されているのは奥行きが間口に比べて長いため、外壁そのものの水平荷重に対して支える意味合いがあるのでは、と存じます。また基礎の立上りが高い部分は積雪が予想される地域なため、木材の腐食防止や室内での使用に対して木造の損傷防止、傾斜地に建築しているため基礎部を安定させるためやCLT材を受けるためにある程度の基礎立上りが必要、といった部分があるかなと考えました。

内部の画像です。特徴は、上部で梁が特殊です。
屋根に付いている垂木と接合するかのように梁も三角上に施工されています。通常、小屋組の梁は水平に施工することで、横に広がろうとする水平荷重に対して抵抗する力を持ちます。そのため、水平施工が通常なのですが今回は斜めになっています。
推測になりますが、小屋張を垂木と一体化させることで屋根勾配と近似した角度で施工することで、奥行きの長い屋根には構造力学的に強固になる仕組みになっている。それから画像でも分かりますが、梁を斜めにすることで、意匠的に遠近感が生まれ、直線を走るトラックとしての性質に合っているから、と考えました。
なお少し前のコラムで、現地の山梨県はマツが相対的に多いと画像付きで上げていますが、CLTはスギの可能性が高いです。県産材を使用とあるので、今回の外壁(CLT)は山梨県のスギを使い施工されていると存じます。
では画像の梁は?ですが、梁なのでマツの可能性はあるのかなと思料いたします。
評価(補足)
今回に関連した評価ですと、固定資産税評価ではCLT造において別途対応するようになっていないです。
R6年度基準においても、非木造では、外周壁骨組等にてCLTパネル評点はあるものの、木造では別途、そのような評点は設けられていないため、通常の柱・壁体評点で付設と考えています。
他方で各自治体で別途事務要領を作成し、今回のようなCLT造に関して明確な増点補正等を作っている可能性はゼロでないと思料いたします。
不動産鑑定評価では、CLTパネルを使用していることで再調達原価は通常の木造に比べて高くなりやすく、評価は慎重にすべきと考えています。また今回のように陸上トラック専用の建物という観点ですと、非木造建物が代替競争不動産になると考えられ、どちらが良いか(CLT造か鉄骨造等か)は判断が分かれる印象です。
マラソンも陸上競技の一種なので、私が走る立場から考えると、鉄骨のような無機質な素材よりも木造系の方が走る環境としては良い印象はあります。
タータンの土色と同系で自然に囲まれた感覚があり、CLT造の方が屋外にいる感覚を捻出でき走り易い印象もあるため、今回のようなCLT造の屋内陸上施設は鉄骨造の同類施設よりも効用は高くなると、私なら判断します。
愛知県岡崎市・西三河エリアを中心に、不動産鑑定や固定資産税評価検証を行っています。
安城市役所で行政側から建物評価に携わり、現在は不動産鑑定士・損害保険登録鑑定人として1,000棟を超える評価実績を有しています。
「真実の追求」と「お客様に寄り添う臨機応変な対応」を重視し、行政・鑑定・建築積算の多角的な知見から、数字にとどまらない価値ある評価書を発行します。
建物評価で困った際は、ぜひキュリオスまでお声掛けください。全力で対応させていただきます。