前回投稿した内容の補足となります。
床下浸水の仕組みは断面形状にて前回お伝えしました。では、もしゲリラ豪雨が起きることを想定して、戸建住宅を竣工時にどのような対策ができるかです。私としては実際にあり得るパターンとして、基礎の立上りを高くする。もしくは敷地内高低差を設けることを考えています。

図は基礎の立上り高を変えた場合です。
左側は、立上り高45㎝です。私が市役所在籍時に家屋評価をした際は45㎝が最も多かった印象です。
しかし、45㎝では図の示したクラスの雨水が滞水する場合、床下内部に水が浸入してしまいます。
そこで、図の右側が基礎の立上りを60㎝にした場合です。
60㎝にしますと、同じ滞水状況だったとしても、配管の貫通部分は接触してしまっているものの大きな侵入口となる基礎パッキン部分には水がかかっていません。厳密には配管の貫通部分から少量の水が浸入する可能性はありますが、左の立上り高45㎝に比べれば、かなり被害は少なくなると思料いたします。
ここで評価目線で話します。今回のように基礎の立上り高を上げる場合、固定資産税評価では家屋の税額面では少し評価額は変わります。評点の補正項目のなかに、基礎の立上り高に関する事項があるためです。そのため、60㎝になりますと他が同じ構造や設備等であったとしても、若干の増税として計算はされます。
次に不動産鑑定評価として見ますと、担当鑑定士次第となりますが、60㎝ではやはり浸水リスクが減るという観点においては市場性の代替競争不動産との優劣にて優勢になるため、増点補正(評価額アップ)の対象でも問題ないと思料いたします。その代わり、費用性の面では再調達減価にて費用の増額も行う必要は出てくると考えます。
もう一つ考えたのは、敷地内高低差です。

まず、基礎の立上りが45㎝の場合です。仮に道路の地盤を基準として50㎝の水位で滞水が起きたと想定します。
そうしますと、基礎パッキン及び玄関の床部分(〇で囲っている箇所)まで水が掛かっていることが分かります。
そのため、実質的に床の表面材までダメージを受けていることが想定されます。

つぎに敷地内で高低差をつけた場合です。上の図では同じく水位が50㎝の滞水があった場合を想定していますが、建物自体の高さを上げているため玄関部分は被害は免れています。
特に〇で囲った基礎パッキン箇所も浸水していないため、配管貫通部からの一定の浸水は考えられますが、床材の損傷まではいかないと考えます。
このように基礎の立上りだけを変えるのではなく、地盤自体を盛土して上げることも可能と思料いたします。
特に外観面で言いますと、私個人としては基礎の立上りが60㎝ありますと、ややバランスには欠けるイメージはあります。基礎土台だけが少しフォーカスされる印象です。
それに対して、地盤自体を少し上げる場合は外観としてのバランスも保たれるように見えます。ファサードでは、玄関アプローチ部分に柵を設けたりもしますので、品格(建物全体としてのグレード感)という面では、地盤を上げる方がプラスなのではないかと考えています。
ただ、評価面で見ますと不動産鑑定評価では、やはり盛土に加えて土が流出しないように擁壁も設ける、そして落下防止の策も作りますので、費用面では増額(評価上は評価額を下げる要因)になります。
他方で外観のバランスの良さは加味しても問題ないと思料しますので、代替競争不動産との比較では、状況によっては増点補正(評価額を上げる要因)として捉えても良いとは考えます。
もう一つ言及すると、バリアフリーの観点では外構部分で階段が追加されるため、高齢者向けとは言い難くその面ではマイナス(評価額を下げる要因)になると考えています。
なお、固定資産税の家屋評価では敷地内高低差は外構に属するため、家屋評価自体に変化はございません。
今回、図には取り上げていませんが、他にも敷地内で雨水を溜め込まないように僅かな傾斜をつけて、建物側に水を来させないようにすることも工夫としては考えられます。また事務所ビルや店舗ですと、出入口付近に止水版を設けて、雨水を建物内に流入するのを防ぐ対策もあります。
このように、ゲリラ豪雨に対する対策は複数ありますので、特に浸水し易い地域で建てる場合は、竣工時に一考した方が良いとは考えます。
私の実家も浸水し易いエリアに属するため、何度かエントランス付近の浸水は経験してきました。天災に弱いエリアでも地域として愛着もある方も多いと思料いたします。しかし、それだけでは現在の異常気象を乗り切ることは困難なため、個々人での工夫が問われる時代だと痛感しております。
愛知県岡崎市・西三河エリアを中心に、不動産鑑定や固定資産税評価検証を行っています。
安城市役所で行政側から建物評価に携わり、現在は不動産鑑定士・損害保険登録鑑定人として1,000棟を超える評価実績を有しています。
「真実の追求」と「お客様に寄り添う臨機応変な対応」を重視し、行政・鑑定・建築積算の多角的な知見から、数字にとどまらない価値ある評価書を発行します。
建物評価で困った際は、ぜひキュリオスまでお声掛けください。全力で対応させていただきます。