先日、ゲリラ豪雨が発生した地域があり、深刻な水害が発生しています。
そのため、大量の雨が建物にどのように影響を及ぼすか関心がある方も多いと存じます。
今回は臨時テーマとして、水害に関連した建物構造や評価について述べることにしました。
下記は建物の基礎断面を表したものです。状況としては、基礎外周に雨等によって滞水し始めている段階です。

この場合、まだ床下には水は入っていないのが分かります。
注目ポイントとしては、〇で囲った部分となり、基礎パッキンと配管貫通部分になります。もし当該部分に、長期間にわたり水が接してしまう場合、床下内部に水が浸入するリスクが高まると考えていだいた方が良いです。
それでは次に、滞水する水位が更に上昇した場合です。

この場合、〇で囲った配管貫通部分や基礎パッキンまで水が浸かってしまっています。こうなると、これらの部分から床下内部に水が浸入し易くなってしまうと考えます。そして上記図では、実際に床下浸水した状態を表しています。
また上記図に対して更に帯水状態が続くと、床下に侵入する水量も多くなり、床の下地部分にまで水が到達すると大きな床材の損傷に繋がってしまいます。
評価の観点で述べると、損害保険鑑定では下地材に水が浸かってしまえば、水害損傷として扱うことになると考えます。下地は大引や根太といった部材が使われますが、木材です。そのため、経年劣化による損傷と水害で起こりうる腐朽とでは、現地の床下点検口から目視できる位置傷んだ箇所があれば、判断はつき易いと思料いたします。
また不動産鑑定評価の目線で考えると、修繕等が絡んできます。こういった被害が過去にあった建物を評価する場合、修繕履歴は細かく分析することになります。
当時、どれほどの雨水が床下に入っていたか、具体的に床材でどの部分が損傷し、どの部材を実際に交換したか。それによって、床材の経済的残存耐用年数が変わってきます。
損傷が軽微であったため、ほとんど交換はしなかったのであれば、当該耐用年数は水害被害を考慮して低く考えなければなりません。他方で、傷んだ床材は全て交換した場合は、逆に同耐用年数は高くすることで、被害を受けていない代替競争不動産の建物との整合性が取れると考えます。
なお固定資産税の場合は減免制度があるため、一定の偶発的な損傷(今回なら浸水)があったと認められれば、建物全体に対する被害割合に応じて、税額の減免がなされます。留意点としては、仮に修繕が遅れたとしても、通常は被災された当該年度のみが減免対象期間となることが多く、修繕がなされるまで減免の適用が確定している訳ではない点です。
これに関しては、自治体ごとで条例等にて別途定めている場合もあるため、実際の減免期間についてはケースバイケースで考えることになると思料いたします。

補足として、現地評価目線で私見を追記します。
上記画像のような場合、一見すると基礎の立上り部分が変色しており、内部の床下地も何かしら損傷があるかもしれないと思うかもしれません。
しかし、今回アップした基礎断面図のように、基礎立上りだけが水の影響を受けているだけであり、内部にはダメージはないかもしれません。また基礎立上りの鉄筋部分が腐食しているかどうかも、写真だけでは判断できません。
したがって、外部の見た目だけで損傷具合を判断するのでなく、実際に触ったときの感触、周囲の損傷状況や所有者へのヒアリング、内部構造や床下点検口等での可能限りでの目視確認等を通して、総合的に判断すべきだと考えています。
愛知県岡崎市・西三河エリアを中心に、不動産鑑定や固定資産税評価検証を行っています。
安城市役所で行政側から建物評価に携わり、現在は不動産鑑定士・損害保険登録鑑定人として1,000棟を超える評価実績を有しています。
「真実の追求」と「お客様に寄り添う臨機応変な対応」を重視し、行政・鑑定・建築積算の多角的な知見から、数字にとどまらない価値ある評価書を発行します。
建物評価で困った際は、ぜひキュリオスまでお声掛けください。全力で対応させていただきます。