それでは、次に温泉施設内部を見ていきます。
まず目に映るのはエントランスホールでした。


この施設は2階建てなのですが、エントランスホールは開放的な造りをしているのが写真から分かります。
こういった設計は大規模建物である場合、典型的なパターンの一つになります。写真を見ると、上部が吹き抜けになっており、2階層にわたって使用しています。
不動産鑑定評価の目線で述べると、上部が開放的なエントランスホールは増点補正の可能性は十分にあります。高級感も出ますし、建物自体の品格に影響を与えると考えます。ただ個人的な意見としては、何層にもわたって吹き抜けがあったとしても、大きな上積みは起きないと考えています。これは、例えば極端に10階層ぐらい吹き抜けされた空間があったとします。その場合、明らかに天井は視認できず、高さによる効用増は頭打ちになっていると思料いたします。私としては、今回のように開放的であるものの上部の天井は見えるレベルの方が、印象としては良いかと考えます。
今回はもう1点、構造面についても言及します。吹き抜けがあると良い点は上記のとおりですが、他方で良いとはいえない部分もあると考えています。写真のとおり、2階部分は床がないです。そうなると、例えば大地震のように大きな揺れで横の力が生じるとします。その際、横の力に対して建物を守ってくれるのは柱ではなく床(スラブ)になります。したがって吹き抜けがあると、そうした面でやや不安定になりやすい可能性はあると考えます。不動産鑑定評価で言うならば、鑑定士によっては耐震性の観点で大きな吹き抜けは減価(開放性の観点では増価)という判断も問題ないとは考えます。
なお最後に注記として述べますが、実際の建物は建築基準法に基づいて構造設計や構造計算が行われており、必要な安全性を満たしたうえで吹き抜けが計画されています。あくまで様々な観点から吹き抜けに関する私見を述べていますので、一つの考え方として汲み取っていただけますと幸いです。
次回は、温泉施設内部を評価してみます。