本日は臨時テーマの続編として、ガス設備について評価目線も踏まえて述べます。
今回の大地震によって、大型商業施設における二次被害が生じているため、多くの方がガス設備について関心をもたれていると存じます。
そのガスに関してですが、都市ガスとLP(プロパン)ガスの2つに大別されます。
都市ガス…メタンや天然ガスを原料としており、空気より軽いのが特徴です。私の場合ですと、学生時代にメタンは軽いという印象が今でも残っています。そのためガス警報器については、都市ガス供給の建物の場合、高い位置に備えられています。またニオイについては、本来は無臭ですが、もしものときに備えて敢えてニオイを付着させて、私たちの家庭に供給されています。
評価目線で述べますと、都市ガスの供給エリアはその地域のガス会社に確認することで分かります。不動産鑑定では、まず調べることは必須になっています。では、なぜ調べるかですが、土地の評価をする際に建物を想定するのですが、そのときに実際に都市ガスが使用できるかどうかの判定で用いるからです。
一般に下記で述べるLPガスに比べて、都市ガスの方が使用料金が相対的に低く抑えられている傾向にあるため、評価額にも影響を与えるためです。
固定資産税絡みでも述べます。私はLNG(液化天然ガス)基地の評価にも携わった経験があります。このLNG基地において海外から船で国内基地まで、天然ガスを液体の状態で運んできます。そして、天然ガスを基地で保存し、その液体を基地にて気化させて、皆さんの家庭まで気体の都市ガスとして運ばれています。
ここでLNG基地のガス設備は、償却資産の申告項目になりますが、耐用年数は構築物と機械及び装置で異なってきます。今回挙げたようなガス貯そう施設では、ガス管を含め機械及びその装置に該当する可能性が高いです。他方で、船から基地(ガス貯そう施設)まで天然ガスを陸揚げする際のパイプライン等は構築物に該当することになっています。
機会及その装置と構築物では耐用年数が異なってきますので、細かな確認は必要です。また見積書等の項目名だけで分けるのではなく、実際に施設を構成する各部位ごとに、目視で資料と照合確認できると一番良いです。
LPガス…石油ガスを液化したもので、空気より重いです。そのため、LPガスを使用している住宅では、床付近にガス漏れ警報器が設置されているはずです。またニオイについては都市ガスと同様で元々無臭ですが、敢えてニオイを付着させてから供給されています。
LPガスは都市ガスとは異なり、敷地内にガスタンクが設置されているのが特徴です。下記は当該タンクの一例です。

また宅内に目を移すと、ガスを使用するキッチン等付近には、下記ようなラベルが貼られている住宅もあるかと存じます。私の経験談ですが、キッチン内で殺虫剤等を噴射しても、警報器が作動したことは何度かございました。しかし警報器の感度を下げてしまうと、”もしも”のときの意味がなくなってしまうので、生活するうえで何らかの行動が原因での誤作動はやむを得ないとは存じました。

最後に固定資産税絡みを追記して述べます。下記は、私が大学時に作成した簡易図面です。

固定資産税においては、建物に関わるガス設備は家屋と償却資産に分ける必要があります。詳細は固定資産評価基準や当評価基準解説に記載がないため、各自治体に委ねられている部分もございますが、区分けの分岐点はガスメーターになる判断が多いです。
プロパンタンク(図ではボンベ)やガスメーター、当該タンクからガスメーターまでの配管は償却資産(通常、ガス業者の所有物)、他方でガスメーターから宅内に入る配管や、ガスコンロ等は家屋(通常、こちらはアパートや個人宅所有物)になると思料いたします。(もう少し専門的に言及すると、非木造(RC造等)のアパートであれば、R6年度基準では、配管はガス主管評点、ガスコンロはシステムキッチンもしくはミニシステムキッチン評点で付設すると考えます。但し、ガスコンロが持ち運び可能なタイプである場合は、当該コンロは償却資産になる可能性があり留意が必要です。)
更に実務目線で述べさせていただくと、アパートの見積書にてガス設備の配管類は、口径等による分けはされているものの、各配管の詳細な施工場所を特定することは難しい印象があります。しかし、上記のように建物所有者管轄のガス配管類は全て家屋範疇の可能性が高いので、ガス配管に関しては評価上にて細かく区分けする必要はなく、原則としては全て家屋に振り分け、償却資産の項目に分ける必要はほぼないと考えています。
留意点としては上記で述べたものの、やはり全ての建物に関して原則論が当てはまるわけではないので、評価の際は個々の分析を現地確認も行いながら、精緻に行うことが重要だと考えます。